INTERVIEW:Douglas Funke

Douglas Funke

Iceberg Real Estate

最高経営責任者

カルフォルニア-ロサンゼルス市場の概観

Douglas Funke経歴

Iceberg Real Estate社

最高経営責任者

モルガンスタンレーアセットマネジメント社REIT部門のマネージング・ディレクターを務めた。Iceberg Real Estate社を創立。Berkeley Street Real Estate Income Fundのマネージング・ディレクターとGadsen Growth Properties社の役員を兼務。

カリフォルニア州の住宅市場

カリフォルニア州の住宅市場は2019年9月になっても活気がある。南カリフォルニア、セントラルバレーおよびベイエリアにおける住宅販売がいずれも大幅に増大した。住宅価格は4.7%上昇し、過去12カ月で最大の上昇を記録。ロサンゼルスの住宅価格上昇率は4.8%、インランドエンパイアでは4.6%と、2019年9月における州内最高の結果を記録。

ロサンゼルス市場の動向

1.ロサンゼルスは事実上テクノロジー・タウンになりつつある。Google が50万平方フィートのショッピングモールを手に入れ、テクノロジー・キャンパスに変身させる意向。AmazonやAppleに加え、大手IT企業のニーズに応えるため関連企業が続々とロサンゼルスに進出。多くの企業が進出していることから不動産市場、とりわけ住宅分野においては需要に供給が十分応えられていない。

2.世界的にも有名な映画とテレビ業界の中心地であるロサンゼルスでは、Hackman Capital Partners(米不動産事業会社)が、撮影スタジオを買収しており、数々の重要な取引がみられた。最近ではCarlyleから650 百万ドル(約715億円)でMBS Media Campusを買収。また、Warner Music GroupはロサンゼルスダウンタウンにあったFord工場を買収している。こういった、ロサンゼルスの勢いを強固で根強くさせる主要な動きが不動産業界を支えている。

3.住宅価格が高騰し、価格的に手が届かなくなりつつあるロサンゼルスの住宅市場は危機的状況にある。カリフォルニアは州としてこの問題に真剣に取り組んでおり、Gavin Newsom州知事は、州の歴史上でも類を見ない大掛かりな手頃な価格帯への住宅プログラムを提案した。

4.Amazonに代表されるEコマースが市場に受け入れられるようになり工業用不動産および「ラストワンマイル」向け不動産が伸長。ロサンゼルスのすぐ東側にあるインランドエンパイアに現在建設中の2,700万平方フィートの工業用地があり、不動産市場の好況を証明している。ロサンゼルスの消費者パワーは過去数十年間で最大規模の工業用地開発の牽引力となっている。

ソーシャルレンディング,クラウドファンディング,クラウドバンク

補足:米国全体の住宅市場動向

米国が2007年に経験した不動産市場下落の後、投資家は、戸建て賃貸物件は投資家に好まれる選択肢となっており、建設費や改装にかける金額を抑える傾向にある。オーナーにとって購入した物件を素早く貸しに出せるということは、ほぼ即時にキャッシュフローが入ってくる可能性を意味している。

過去3年間に戸建て賃貸用物件が最大で30%増加。近年の米国におけるほぼすべての住宅需要は戸建て賃貸ユニットにより満たされている。

2010年から2019年の間、米国の戸建て賃貸市場における家賃の上昇は堅調であった。全国および主要20都市地域における戸建て家賃価格の変動を分析するCoreLogic戸建て家賃指数(SFRI)の最新のデータによると、2018年4月に2.8%であった全米家賃上昇率は、2019年4月には3%となった。

全米不動産協会によると、中古住宅に関しては、2019年7月においてその中央値が一年前からから4.3%増の280,800ドルとなった。7月の価格上昇は、前年同月比で見ると連続89カ月目の上昇となった。需要は堅調に推移している。2019年に入って7月までの売却は、新築で4.3%増、中古住宅で2.5%増とそれぞれ増加した。

カルフォルニア州不動産投資についての見解

カリフォルニア州の経済は世界第6位の規模である。その原動力は州内にあるイノベーティブな生産力、IT産業の集約その他によるものが大きい。

ロサンゼルスの不動産市場には、単なる規模の大きさ以上に多数の有利な点がある。カリフォルニア州の不動産購入を検討しているならば、市場原理が好調なロサンゼルスの住宅市場は投資先として非常に魅力的といえる。

ロサンゼルスの不動産の買手、デベロッパー、投資家そしてオーナーにとって、高額なコスト、税金、規制、悲観的な報道等の明確な障壁は存在する。しかし、そういった障壁は、株式、債券や美術品など、どのような価値ある商品にも付随してくる。ロサンゼルスが投資先として選ばれる価値を持つ理由は、需要の高さ、ロサンゼルスの不動産市場への直接的・間接的な投資意欲を刺激する多様な供給源、そして需要を満たすことが困難な供給サイド、これら要素がロサンゼルスに投資すべき理由として直接寄与している。入手可能なチャンス、物件の豊富さに後押しされた流通性の高さ、数的安全性(需要サイド)、供給側の制限に起因した価値の安定性(規制、コスト面)、これらのポイントがロサンゼルスにおける不動産投資がいかに優れているかを示している。

インタビュー内容はDouglas Funke氏の個人の見解であり、当社の見解ではございません。